双星の煌めきは月夜に魅せられて
「月那、ここにいる?」
ドアを開けて堂々と中へ入ったのは、エレナが探しているだろう人物で、空気が変わるのが分かった。
「「⋯⋯」」
私と朔夜以外の部室にいる全員が何も反応できずに茫然としていて、なんだか面白い光景となった。
ただ、千尋だけチラッと朔夜を見れば、すぐに再びパソコンに向き直った。
「おめえ⋯⋯」
やっと状況が吞み込めたのか、凜太郎は朔夜に一歩ずつ近寄る。
少し不穏な雰囲気をまとった凜太郎に合わせて朔夜も一歩ずつ下がるが、後ろにあるのはドアなので、ただ凜太郎を見上げることしかできなくなった。
「なんで今までこの格好しなかったんだよ!」
「え⋯⋯」
「めっちゃ似合ってるじゃねーか!な?」
凜太郎は振り返って、未だに立ち尽くしている幹部たちに呼びかければ、皆がこくこくと頷いた。
「一瞬、サクって分からなかった⋯⋯」
「じゃあ、イメチェンは大成功だな」
コミュ力全開の朔夜が笑うということは、破壊力が増すということになる。
妹の私でさえも、これはイケメンだわと思わずにはいられなかった。