双星の煌めきは月夜に魅せられて
彼は良き友達であって、好きな人ではない。
そして叶わぬ想いだが、優生という好きな人だっているのだ。
「そうだね……あ、メール来た」
ニコニコ笑顔になるかと思えば、スマホの画面を見て真剣な表情に変わる。
そして文字を打ち始め、メールを返信し終えたのだろう、スマホをポケットにしまって、立ち上がった。
「用事できたから、僕は先に失礼するよ〜」
「おー、またな」
優生が一言そう言えば、光希はドアの前で一度立ち止まった。
「ツキもまたね〜」
光希は私の方に振り返り、笑顔で挨拶した。
私もぎこちなくなりながらも挨拶を返せば、彼は満足した笑顔で幹部室を後にした。
「ねえねえ!光希くんと結局どこまで進んでるの?」
光希が帰った直後、エレナが興味津々な様子で私に尋ねてきた。
どこまでと言われても、どうもなってないから何を言えば良いのか。