双星の煌めきは月夜に魅せられて
「……秘密だよ」
「えー!教えてよ!」
痺れを切らしたエレナはついに立ち上がって、私に近づいた。
「秘密は秘密なの!」
結局ぼやかす表現しかできなくて、私はひたすら秘密であると貫いた。
「ちぇー」
次第にエレナも諦めてくれて、私はホッと一息ついた。
「エレナ、お前はこっちだ」
一度立ち上がっていたエレナはどこに座ろうかと視線を巡らせていると、優生がそんな彼女に一声かける。
ぼんぼんと優生は隣を叩くと、エレナはそこに腰かけた。
ただのカップルのやりとり。
──思い切り殴られたかのように、心が揺らいだ。
「……っ」
「月那?」
朔夜の声が優しくて、やっぱりそういうところがお兄ちゃんなのだと、改めて思う。