双星の煌めきは月夜に魅せられて
「朔夜くん!」
「……?」
エレナの声に朔夜は頭の上にハテナを浮かべながらも振り向いた。
しかし、エレナは口を開く様子がなく、黙り込んでしまう。
「エレナ?」
朔夜が一度名前で呼ぶと、エレナはハッと我に返って「ごめん」と謝った。
「またね、朔夜くん」
「うん、またな」
エレナの不自然な様子に違和感を覚えたものの、私は朔夜についていった。
「エレナ、様子が変じゃなかった?」
「……気のせいじゃないか」
「だったらいいんだけど……」
私より朔夜の方がエレナと一緒にいるから、朔夜がそう言うのなら、きっとそうなのだろう。
だけど、髪を切った後の朔夜の顔はとても分かりやすくて。
どこか落ち着きのない態度に、また違和感を覚えたのだった。