双星の煌めきは月夜に魅せられて

「朔夜くん!」


「……?」



エレナの声に朔夜は頭の上にハテナを浮かべながらも振り向いた。


しかし、エレナは口を開く様子がなく、黙り込んでしまう。



「エレナ?」



朔夜が一度名前で呼ぶと、エレナはハッと我に返って「ごめん」と謝った。



「またね、朔夜くん」


「うん、またな」



エレナの不自然な様子に違和感を覚えたものの、私は朔夜についていった。



「エレナ、様子が変じゃなかった?」


「……気のせいじゃないか」


「だったらいいんだけど……」



私より朔夜の方がエレナと一緒にいるから、朔夜がそう言うのなら、きっとそうなのだろう。


だけど、髪を切った後の朔夜の顔はとても分かりやすくて。


どこか落ち着きのない態度に、また違和感を覚えたのだった。

< 196 / 331 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop