双星の煌めきは月夜に魅せられて
「今日はもうやんない。じゃあ、僕達先帰るね〜」
「よっ、お幸せに!」
凛太郎に茶化され、光希にされるがまま、私は幹部室から出た。
「あの……光希」
「どうしたの?」
「光希って色んな顔があるんだね」
天使みたいき可愛く笑う時もあれば、男らしく、色っぽく笑う時だってある。
光希特有の間伸びしたのんびり口調の時もあれば、きっぱりした口調にもなる。
「ツキはどの僕が好きなの?」
「どの光希も嫌いになったりしないよ」
「……ツキには参るよ、ほんと」
いつも見てばかりで、実際に光希のバイクに乗るのは随分と久しいことだ。
光希のバイクの隣にある、黒いバイクを見つめながら、私は彼の後ろにまたがった。
「……最初、ツキと僕は似てるって思ったんだ」
ゆっくり安全運転し始めた光希は、前を向きながら呟いた。