双星の煌めきは月夜に魅せられて
とはいえ、月那はそこまで勉強しなくても必ず1位取れるだろう。
例え俺がそう声かけても、月那は変なところで頑固だから勉強するに違いない。
「で、どこから教えてほしい?」
「……古典の教科書持ってくる」
手元に教科書ないから俺は部屋から教科書を取りに行った。
ちなみに月那は古典の勉強はいつもしてない。机の上にも古典の教科書はなかった。
あるのは理数系の科目と現代文だけ。知識系は勉強しなくとも頭に入っているのだろう。
「ここの現代語訳が分かんない」
「あ、ここはね」
だから、教科書や古語辞書を使わなくともすぐに訳して教えてくれるのだ。
「あと、これが婉曲になるのはなんで?」
「ほら、この"む"は何形?」
「……連体形」
「そう、連体形の時は婉曲になる場合がほとんどなの。普通はようなーとかみたいなーって訳すけど、訳しにくい時はスルーしてもいいよ」
すっかり氷解して月那に感謝すれば、俺は古典のテスト勉強を再開したのだった。