双星の煌めきは月夜に魅せられて
今週末の待ち合わせ場所を決めて、長い時間雑談してると鍵の開く音がして、月那が帰ってきた。
それと同時に、洗濯物をしまっていないことを思い出した。
「……ごめん。月那帰ってきたから切るね」
『ううん!こちらこそ長い時間付き合わせちゃってごめんね!』
「楽しかったから謝らないで」
『ふふ、朔夜くんは優しいね。じゃあ、おやすみ』
まだ夕方だけど、おやすみの挨拶をした俺は電話を切った。
そして洗濯物があるベランダに出て、取り込むと月那がひょこっと顔を覗いた。
「ねえ、夜ご飯のことなんだけど……なんかいいことでもあった?」
「え?」
月那の訝しげな表情に、俺は焦りを感じてしまった。
なんで、焦ってるんだ俺……。
自分で問いかけるが、そんなのとうの昔から知ってることだ。
「もしかして、なずなと良いことでもあった?」
そして見当違いにも程がある発言に俺は毒気を抜かれてしまう。