双星の煌めきは月夜に魅せられて
月那はおかしくない。
俺はなずなのことが好きだったんだから。
「朔夜……?」
どうしてこの想いを誰にも言いたくないのか……言えないのか。
答えは簡単だ。
警察がずっと追っている犯罪者を好きになってしまったからだ。
今では犯罪者とはいえないが、それでも依存症を抱えたり、谷口組組長の一人娘である大きな爆弾を持つ人物に、俺は……。
あいつはすっげーいい奴だ。
だけど世間は犯罪者、可哀想な人、危ない人……様々な目でエレナを認識してしまうのだ。
なずなを好きではなくなった今では、月那の望む答えは返せない。
最初はあんなにも嫌ってたのに、不思議なもんだ。
「良いことはあったけど、なずなじゃない」
「そっか。今日はカレーでもいい?」
「うん」
「じゃあ準備してくるから、待ってて」