双星の煌めきは月夜に魅せられて

逮捕の瞬間は大人達がどうにかするということか。


じゃあ、いつかは分からないのか。


俺がここでエレナはクスリやってないと言ったとしても、月那はもう知ってることだろう。


俺と同じで月那も薬物依存症の禁断症状を良く知っているので、クスリをいつ頃飲んだかくらいは見抜けるから。



それでも止めないのは、


三村胡桃の口から、谷口組組長の悪事を吐かせるためだ。



つまり、もう俺にはもうどうすることもできないのだ。


捕まえなきゃいけないのは頭では理解しているつもりだが、どうしても捕まって欲しくないと願ってしまう。



クスリやってないのに、俺が捜査に加担したせいで……彼女の人生を狂わせてしまう。



身が引き裂かれそうな思いだが、子供である俺にはもうどうすることもできない。



「ごちそうさまでした。部屋に行く」


「うん、おやすみ」



部屋に戻って、気持ちが昂ぶるあまり、拳で壁を思いっきり叩いた。



「くそ……っ」



ただただ無力である自分を恨んでは恨んだ。
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