双星の煌めきは月夜に魅せられて
「あのね、たくさんお小遣いが残っててね、可愛い服買えたの!」
水族館に向かう途中。
「この服可愛いでしょ?」とヒラリとスマートをなびかせながらくるりと回るエレナ。
「うん、似合ってる」
「ありがとう……なんかくすぐったいね!」
……その笑顔の方が俺にはくすぐったいんだけど。
なんて言えるはずもなく、服だけでなくエレナの全てに魅了されていく。
今日は全部忘れよう。
そして、思いっきり楽しもう。
「あとどんくらい?」
「うーんとね……ほら、あそこ!」
指差す先は、大きな建物。
看板も見えてきて、目的地にようやく着いた。
水族館か……子どもの頃以来だ。
あの時は月那も父さんも一緒だったけど、今はお互い忙しいからな。
大人になったもんだと、懐かしく思った。