双星の煌めきは月夜に魅せられて
「そんなの、嘘だ……!こんなあたしのこと、好きになるわけない……」
きっとクスリのことを言っているのだろう。
俺はそれも含めて全て受け止めるって決めたのだ。
彼女を好きだと気づいたその瞬間から。
「エレナはずっと諦めなかった。あのな、エレナは自分が思ってる以上にいい奴だし、俺は好きだよ」
何度もクスリに負けそうになっても。
どれだけ苦しくなっても、彼女は一度だって諦めはしなかった。
前向きな姿勢に、優しいエレナにどれだけ救われたか、君は分からないだろう。
「……どうしよう」
そう。俺達は大きな過ちを犯してしまう。
だけど、後戻りできないくらいにはお互いの想いはとてつもなく強まるばかりだった。
「てっきり思いっきり振られるかと思ってたから信じられなくて……こんなことになるとは思わなかった」
涙ぐみながら、彼女は口にする。
「ごめん、ね……優生…っ」
この関係が恋人と呼べなくても、俺は彼女をどこまでも好きだと思ってしまうんだ。