双星の煌めきは月夜に魅せられて
⁑
☆
最寄駅に着いた時にはもう高校生が出歩く時刻ではなかった。
こんな夜遅くまで月那を留守番させてしまった。
月那に申し訳ない気持ちが芽生え、急いで帰宅した。
鍵を開けて、家の中に入る。しかし、いつもならすぐに聞こえるおかえりの声が来なかったので、俺は何か違和感を感じた。
「……月那?」
妹がいるのか確認すると、扉の向こうで月那の姿が見えたのでひどく安堵した。
透明なガラス付きの扉で、向こうのリビングの様子が丸見えなのだ。
「はい……はい、判りました。では、朔夜に伝えておきます」
月那はどうやら電話しているようで、スマートフォンを耳に当てている。
その口から俺の名前が出てくることで、場が張り詰める空気に変わって、冷や汗をかいた。
「この度は大変申し訳ありませんでした」
そして、良くないことが起きたと理解した。
やがて話し声が聞こえなくなり、俺はそーっと扉を開けてリビングに向かったのだった。
「……」
月那は俺を静かに見るが、何も声をかけず思案を巡らせる表情をする。