双星の煌めきは月夜に魅せられて
どことなく重い空気で、俺は何も声にできない。
月那が話し出すのを待つだけだった。
「……ねえ、朔夜」
ようやく口にしたのは、さらに張り詰める空気にさせていく切り出しだった。
自分の思考が追いつかないようで、それは戸惑った声でもあった。
俺は身構えて月那の言葉を待ち続ける。
「……三村胡桃とデキてるの?」
寄せられる眉間と疑うような目つき。
何かを我慢するかのように結ばれた唇。
──何が、彼女をそうさせてしまったのか。
あの電話で月那をそうさせたというのは言わずもがなだが、その肝心の内容が分からずじまいだった。
「……デキてない」
俺は月那の言葉の使い方にもさらに違和感を感じた。
デキる……月那は俺とエレナが付き合ってるかと聞きたかったと思う。
それなら、付き合ってるという言葉をそのまま使えば良かったはずなのに、どこか悪い印象を与える"デキてる"という言葉をわざわざ選んだ。