双星の煌めきは月夜に魅せられて
そこに佇む月那は崩れ落ちないように、平常心を保つのに必死だった。
「え、査問って……」
「パパが私達、警察、麻薬取締官……色んな人達が集めた情報を谷口組に流したからだって」
査問……組織の秩序を乱すような行為を行った場合か、行った疑いがある場合、組織内でその人物を取り調べること。
つまりは父さんが不正行為をしてしまったということになるわけだ。
だが、捜査熱心なところ、正義感が強いところ。
これまでの仕事に対しての姿勢を見る限りでは、そんなの絶対にあり得ない。
それは冷静になれば誰にだって分かること。
「……パパがそんなのやるわけない」
月那はそんな俺の意図を汲み取ってくれたのか、頼りになる凛々しい表情を浮かべるかと思いきや
「そう思うのは、他に疑う人がいるからなの」
冷めた声で俺に改めて向かい合った。
「さっき電話くれた人曰く、三村胡桃は今日の夕方頃に逮捕される予定だったらしい」
……え?
エレナならつい先ほどまで一緒にいた。なんならデートしてきたのだ。