双星の煌めきは月夜に魅せられて
「あなた達の行為がどれだけ優生を傷つけることなのか、知っててやってるってことなんでしょ!?」
「……っ」
「ちゃんと順序を踏んでよ!優生が真剣にエレナを想ってることくらいは朔夜だって分かることでしょう……?」
月那が感情的になれたのは、あいつに恋をしたからなのだとすぐに気づいた。
優生を傷つけるのは承知だ。
それでも、俺はエレナと……一緒にいたいと願うのはダメなのか?
「だったら、どうしたらエレナと一緒にいられるんだよ!?あいつが捕まったら、俺は……」
「そんなの自分で考えなさいよ!!
傷つける覚悟なら、何をすべきかわかるでしょ!?」
いつもは月那が道しるべとして色々なことを教えてくれた。
いつまでも妹に頼ってしまう情けない兄だけど、それでも俺は分からなくて。
どれだけ考えても分からない難題で。
睨みつける瞳からは力強い意思を感じて、もう感情を隠す月那ではなかった。
「朔夜がエレナを選ぶっていうのなら……私一人でやるから。捜査協力者としての行動は慎んで」
やがて深呼吸をして昂ぶった気持ちを落ち着かせた月那は、またいつもの冷めた口調に戻ってこう言った。
「朔夜は何のために協力者になったのか、何を守るために動いてるのか、今一度考えて」