双星の煌めきは月夜に魅せられて

気持ちのコントロールが上手な月那は、そのまま部屋へ戻っていった。


俺はまだ落ち着かない感情が残っていて、相変わらず置いてけぼりだった。



「何のために、何を守るために……か」



月那の言葉を思い出して、なぞるように呟いた。



捜査協力者になったのは、父さんの仕事の負担を減らそうとしてやったことだ。


父さんが過労で倒れたことがあったから、月那と一緒にやろうって決めたんだ。


……結局は査問までさせて、目的通りに果たせられた訳じゃなかったけどな。


本当に申し訳ないという言葉しか出てこない。



本来の目的は父さんのためだったのに、エレナを好きになってから、捜査を疎かになってきたような気がする。



「……」



あれ、エレナは自分が逮捕されるっていうのは知らなかったよな?


俺の口からは一切伝えたことがないし、伝えたのは月那と……千尋だけだ。


千尋は俺達の味方だと言っていたが、それが嘘だとしたら……いや、待て。


千尋には逮捕することは話したが、いつ逮捕するかまでは話してない。


逮捕されないように、今後の取引をキャンセルするようなことは流石にできないだろう。
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