双星の煌めきは月夜に魅せられて
「……今は父さんのことだ」
なぜ取引を取りやめたのかは、エレナにしか分からないけど……クスリを辞めるという理由であればと願う。
父さんが俺を庇ってこうなったんだから……俺がなんとかしなきゃ。
自分が自室に戻る時、自室が奥にあるので月那の部屋にも通りかかる。
「……ごめん、優生……っ」
扉の向こうで泣いてるのが分かった。
だけど、かける言葉が何も思い浮かばなくて、足取り重く自分の部屋に入ったのだった。
後でちゃんと月那にも謝ろう。
月那のことを大きく誤解してしまった。
本当に兄失格だなと自分で自分を嘲笑する。
月那の気持ちを考えるだけで胸が痛むから、本人はもっと痛んでるに違いない。
現に泣いているのだから。
布団に包まりながら、俺は今後のことを考えながら横になった。
そうしているうちに夜が明けて、俺は結局睡眠をとることができなかった。