双星の煌めきは月夜に魅せられて
⁑
☆
やはり、朝からたくさんのメディアが家まで押しかけてきた。
月那は無言で俺の腕を引っ張って、そのままその場はやり過ごせたのだけれど。
通学路を歩いていると、繋がれた手は離れて、月那は黙ったまま先を歩き始めた。
「月那……!」
「……」
……これは口を利くつもりはないな。
そりゃあ、そうなるよな。
俺のせいで父さんは査問になったし、挙げ句の果てに好きな人の彼女と浮気って……月那が怒るのも無理はない。
「兄妹喧嘩で家に帰りたくないってマジかよ……」
とりあえず、夜もメディアの目から避けるために、授業が終わるなり俺は桜蘭に訪れた。
月那はもうそんな俺を予測済みか、桜蘭に来ることなく、なずなの家に一直線に向かった。
なずなは険悪な雰囲気を醸す俺達を見て、オロオロして挙動不審になってたな。
なずなにも申し訳ないな。日を改めて謝ろう。
「ったく、しゃーねーな。今日は俺の家で泊まれよ!」
兄妹喧嘩だということで家に帰れないということにして、泊めてほしいと懇願したところ、凛太郎が受け入れてくれた。