双星の煌めきは月夜に魅せられて

その後は夜ご飯を食べて、お風呂も入り、後は寝るだけとなった。



「急だったのに、ありがとう」


「母ちゃんが友達を家に誘えってうるせーから、逆に助かっちまったぜ」


「……明るい家族だったな」



凛太郎の父は仕事で忙しいみたいだが、家で一番うるさいのは父だという。


それでも明るい家庭で、どこか冷めきった俺達とは全然違ってた。



「凛太郎が暴走族っていうの、忘れちまいそう」


「……それは母ちゃん達に内緒なんだ。赤毛は高校生デビューってことで何とかなったけどよ」


「じゃあ、なんで暴走族に……」



こんな幸せそうな家庭に暴走族という言葉を結びつけるには無理がある。


凛太郎は大の字になって、懐かしむ目で天井を見上げた。



「俺、小せえ時から優生と仲良くてよ。優生に誘われたってなだけだ。優生も暴走族とかっていう印象なかったし、喧嘩すらしてこなかった優生が暴走族?って驚いたな」


「じゃあ、優生はどうして……」


「優生が小学生の時に誘拐されちまいそうになったんだけどよ、そん時に助けてくれた人がいたんだよ」



その人が桜蘭の初代総長で、恩人の後を継ぎたいという思いかららしい。


そんなことがあったなんて初耳だ。
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