双星の煌めきは月夜に魅せられて
「ま、いずれ分かるか」
切り替えた凛太郎は、他愛ない話を始めた。
俺も相槌をとり会話に参加するが、頭の中は父さんのことだらけだった。
「月那のこと、気になんのか?」
「……まあな」
父さんももちろんだが、月那も心配だ。
月那が優生が好きだと知った今、俺はエレナとこのまま関係を築いていいのか躊躇ってしまう。
だが、そんなことを優生の味方と同然の凛太郎に話すわけにいかない。
「月那が久しぶりに感情を曝け出したんだ。
嬉しいけど、喧嘩の最中にしなくてもいいだろって思ってな」
「それほど月那の意思がつえーんだろ」
そう、だからこそ躊躇ってしまう。
それほど月那は優生が傷ついて欲しくないと望んでいるわけで、兄である俺はそれを叶えたいのだけれど。
エレナと一緒にいたいという己の欲望もあるわけで、守りたいものが分からなくなってくる。
だから、そんな中途半端な自分に罰が当たったんだけど。