双星の煌めきは月夜に魅せられて
「……本当、嫌だな」
「ん、何が?」
「中途半端な自分が」
凛太郎は大の字を続けたまま顔だけ俺に向けて、また天井を見上げた。
「……何も守れない自分が、嫌いだ」
何も言わない凛太郎に、俺は続けて呟いた。
父さんが仕事で忙しかったから、家では妹とふたりで留守番をすることが多かった。
月那を守らなきゃ。
その想いが他の兄より強いのは必然になっていくことで、責任感が小さい頃から芽生えていた。
だけど、月那が誰よりも早く大人になってしまって、本音で語れる機会が消えてしまった。
そして、喧嘩だ。
子どもの面影を残しながら、精一杯大人の姿をした月那は怒ることなく、
『朔夜は何のために協力者になったのか、何を守るために動いてるのか、今一度考えて』
あの言葉を残した。