双星の煌めきは月夜に魅せられて
秘密主義の桜蘭。
警察までもが情報を知ることが至難の業なのだ。
『……一般人なら任意になってしまうな。
捜査協力してくれないか要請してくれないか』
「それは私情挟むことになるけど、あの子を危険な目に巻き込んで欲しくないから反対するわ」
『そうか、わかった』
桜蘭などの秘密主義の集団の情報が漏洩された場合、必ず彼らは動き出す。
そこを狙うのもありっちゃありだが、得体も知らない相手なのでリスクが高い。
いくら桜蘭の元姫のなずなでも、事件解決のためとはいえ、一般人であることには変わりないのだ。
女の子を危険なことに巻き込みたくはない。
『三村は桜蘭を谷口組の傘下にさせようと目論んでいる可能性がある。そうじゃなきゃわざわざ娘に偽名を使ってまで潜入はしないだろう』
「ねえ、住民票は?
その橋本エレナの住民票とか存在してる?」
『はは、そんなことまで知ってるのか』
私の提案に、佐藤警視監は電話の向こうで呆れ笑いをする。