双星の煌めきは月夜に魅せられて
『エレナはなんか用事があるって朝からいないよ』
「だったら、最初からそう言えばいいじゃない!」
なんだかとても損をした気分だ。
思わず声を大にして言ってしまった私に、軽い謝罪をする千尋はあまり反省していないだろう。
『本当にごめんって。月那ちゃんは何も悪くないから……じゃあ、朔夜くんにもよろしくね』
「……?うん、分かった」
私がそう返事したら、すぐさま切られた電話。
そんなに話したくなかったのかな……。
どこか変な様子の千尋に首を傾げつつも、私はエレナをどう動かすか考えていた。
パパの査問から解放するには……朔夜がエレナを庇っていないことを証明すればいい。
エレナがクスリを辞めているから、それが取引を取り消した理由だというのをすぐに使いたいのだが、
その取引当日に朔夜と仲良くデートをしたのだ。
朔夜とエレナがかなり親密な関係を築いているのであれば、クスリを辞めたと証言した朔夜の言葉を疑うのも無理はない。
つまり、朔夜がいくら違うと言っても、警察は聞く耳持たないのだ。
そこで、エレナを使う。