双星の煌めきは月夜に魅せられて

エレナが取引を取り消したのは、朔夜に教唆されたからではないのだと自ら言えば良いのだ。


そのためにはエレナのその証言をボイスレコーダーで録音して、査問官に提出すれば万事解決になる。


なるのだが……それまでの道のりがえらく長い。



「はぁ……」



私は無意識に重いため息を吐いたのだった。



『月那ちゃんは何も悪くないよ』



それにしても、さっきの千尋の言葉はなんだったんだろう……。


今回の件に関しては私が朔夜と深く関わらなかったのも起因している。


千尋なりに慰めてくれたのだろうか。


……それだったらいいんだけど。



「なんか、変だな……」



胸騒ぎがして、どこか落ち着かない。


これから何かが起きてしまうのだろうか。


私は何もしたくなくなって、机で伏せて寝る体制へと変わった。
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