双星の煌めきは月夜に魅せられて

「もうその人は逮捕された。ここにはいないわ。
問われた罪は指定薬物所持罪」


「薬物?僕、桜蘭でクスリやってる人知らないよ?」


「ええ、その人はここでクスリをやらないように心がけていたからね。相当我慢したと思うわ」



薬物依存症なのに、クスリを飲む場所を自ら制限するだなんて相当難しいはず。


すると、千尋が口を挟んだ。



「……僕は、その人の補佐役としてここに来た」


「「え?」」


「どうして桜蘭なのか、上の人はサプライズだからって教えてくれなかったけど。その人と一緒に桜蘭を乗っ取る計画をしていたんだ」


「「は!?」」



優生は静かに千尋を見つめる。


疑うような目ではなく、ただただ聞こうという真っ直ぐな目で。



「桜蘭を乗っ取るってマジかよ!?」


「僕は乗っ取る気はなかったけど、その人は全力でやろうとしてたよ。だけど、月夜がその人を助けてくれた。乗っ取る気があるのは……上の人だ」



先程まで口を閉ざした優生が千尋に聞いて、



「……その人っていうのは、一体誰だ?」



そして、核心をついた。

< 276 / 331 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop