双星の煌めきは月夜に魅せられて
「もうその人は逮捕された。ここにはいないわ。
問われた罪は指定薬物所持罪」
「薬物?僕、桜蘭でクスリやってる人知らないよ?」
「ええ、その人はここでクスリをやらないように心がけていたからね。相当我慢したと思うわ」
薬物依存症なのに、クスリを飲む場所を自ら制限するだなんて相当難しいはず。
すると、千尋が口を挟んだ。
「……僕は、その人の補佐役としてここに来た」
「「え?」」
「どうして桜蘭なのか、上の人はサプライズだからって教えてくれなかったけど。その人と一緒に桜蘭を乗っ取る計画をしていたんだ」
「「は!?」」
優生は静かに千尋を見つめる。
疑うような目ではなく、ただただ聞こうという真っ直ぐな目で。
「桜蘭を乗っ取るってマジかよ!?」
「僕は乗っ取る気はなかったけど、その人は全力でやろうとしてたよ。だけど、月夜がその人を助けてくれた。乗っ取る気があるのは……上の人だ」
先程まで口を閉ざした優生が千尋に聞いて、
「……その人っていうのは、一体誰だ?」
そして、核心をついた。