双星の煌めきは月夜に魅せられて

「橋本エレナだよ」



千尋がサラッと名前を告げた。



「は?なんだよ、それ……いくらなんでも冗談キツイって」



皆が呆然とする中、一番早く反応したのは優生で、現実を受け入れられなかったようだ。


……ごめん、優生。


本当に、ごめんね……。


好きな人が苦しむ時は想像以上に自分も同じように苦しんでしまう。



「月那……本当なのか?」



そこで一番信頼できると思われたのか、私に違うと言ってくれと訴える。


本当は今すぐにでも嘘だと言って、あなたの苦しみを取り除きたい。


私は何も言えなかった。


だけど、沈黙は肯定と捉えた優生はこの上なく絶望視してしまった。



「嘘だ……そんなの聞いてない!」



悲しみ、怒り、苦しみ。


それらをぶつける場所がなく、優生はただ声を荒げるだけだった。

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