双星の煌めきは月夜に魅せられて
「そんなエレナから伝言をもらったわ」
「え……?」
一筋の希望にすがるような声を出す優生。
エレナを想う気持ちを考えるととても苦しくなるが……なんて言えばいいのか分からないから、背けることしかできない。
私の発言ミスのせいで、優生を壊したくないのだ。
「エレナのお父さん……谷口組組長を逮捕すること」
「「「……!?」」」
「千尋。補足お願いしてもいい?」
「……うん」
私が説明するよりも千尋の方が詳しく説明できるし、説得力が伝わるはず。
そして、千尋も自分の正体と今回の件について丁寧に解説した。
「なんかヤベエことになってんじゃねーか?」
「よく気づかなかったよね、僕達。月夜といい、千尋の情報網も若頭だからっていうのもあったのか」
「……で、抗争か」
無事に幹部の皆には理解してもらえて、優生は少しずつ冷静さを取り戻していった。