双星の煌めきは月夜に魅せられて
ついに……始まった。
私は目立たない場所へ移動して、そこから朔夜達を息を殺して見る。
「……っ」
凛太郎……!
誰かが殴られる姿は想像以上に痛々しくて、心が苦しくなる。
慣れろと言い聞かせながら、私は朔夜のサポートをするため、朔夜の周囲の様子を窺う。
「朔夜、右後方からふたり来る」
『……』
余裕がないのか、返事をしないまま朔夜は右後方を振り向いて、ガタイの良い男性ふたりの腹にすぐさま拳を入れる。
朔夜の力が強いのか、男性達は一発で怯むものの、またもや朔夜に向かっていく。
朔夜は何食わぬ顔で、その男性達に蹴りを一発で今度こそ倒れた。
集団の喧嘩を見るのは初めてだ。
個人で見れば誰が優勢か劣勢か分かるけど、全体……チームとしてだと分からないな。
人数に差がありすぎると尚更、桜蘭の人達がどんどん倒してくれるけど、どっちが有利かわからない。