双星の煌めきは月夜に魅せられて
しばらく乱闘は続いて、桜蘭幹部と朔夜はまだまだ余裕の表情を浮かべていた。
桜蘭の下っ端の人達は倒れている人もいれば、瀕死寸前でなんとか立っている人もいれば、幹部同様しっかりとした足取りで立ち向かう者もいる。
対して谷口組の方は、人数はまだまだ多いが、皆幹部よりも余裕ではなさそうだった。
「優生、凛太郎!」
「「初代……」」
「お前ら、本当に俺を捕まえるつもりか?
こんなにも俺はお前達に尽くしたっていうのに」
「それは……」
すると、喧嘩する手を辞めた三村はふたりを呼びかける。
コイツ、ふたりを精神的に攻撃する気だ……!
通信機は朔夜にしか搭載されていないので、ふたりに直接伝えられることができない。
……私が喧嘩できたら良かったのに、そしたら今すぐ三村を殴ったのに!
「残念だよ……だから全ての力を使って、桜蘭を返してもらうよ」
その言葉の後は、彼の思惑通りだった。
優生と凛太郎は憂えた感情を顔に出して、先程よりも覇気が感じられなかった。