双星の煌めきは月夜に魅せられて
「え、待って……」
いつもは月那の通信機のおかげで、何かトラブルがあれば月那が冷静に対処法を教えてくれた。
今回は桜蘭に潜入するらしいが、俺単体でということだった。
「月夜の名前は結構知られてるの。桜蘭に潜入するとき月夜と名乗ったら、あたし達の目的がバレてしまう」
月那は机を一回叩いてから「そこで」と俺を指差す。
「今回、桜蘭に入るときは本人名義……服部朔夜と名乗って桜蘭に潜入!
私の通信機を使用できないのはそれが理由!」
「じゃあ、携帯電話とか……!
月那が着いていくとか……!」
「暴走族がスマホ依存症とか聞かないから!
それにいきなり私まで着いていったら朔夜の足引っ張るよ!?」
でも普通の高校生はスマホ使うだろ!?
しかも俺の頭の悪さ分かってるだろ!?
ひとりで潜入は流石にキツイって。