双星の煌めきは月夜に魅せられて
そのせいで桜蘭が結構不利な体勢に回ってしまった。
「おいおい、てめーもそろそろこっち側に来たらどうなんだよ?」
愉快そうに高みの見物をした三村は誰かを唆した。
その相手は誰だか……もう皆は知っている。
だけど目の前のことで、とても目向きできそうもない状況だった。
辺りに響くとんでもなく傷ましい音。
耳を塞ぎたいけど、慣れていかないといけない。
でも、千尋の行動次第で一気に追い込める。
向こうは千尋が加勢すると油断して手加減しているくらい、私でも分かる。
「おいおい、名前呼ばねーとわかんねーのかよ?
いい加減にこっちに入ってこいや、オラ!」
千尋は三村を無視して、そのまま喧嘩を続ける。
流石の三村もガチんと来たようだ。
「……凛太郎、優生。あんなクソのためにいつまでこんな顔してるんだよ!?」
「「……!」」
ふたりは目が覚めたような思いをして、瞳に光が入った。