双星の煌めきは月夜に魅せられて

なんて思ううちに、カフェに着いて店内に入る。



「お、ツキ達じゃん!好きなところでいいよ〜」


「はーい」



光希は高校を卒業して、家を継いだ。


可愛らしい風貌なだけあって、ウェイトレス姿は様になっている。



「月那さ、本当にもったいないことしたよね」


「ん、何が?」


「結局光希のこと、断ったんでしょ?」


「ああ……うん、申し訳ないけどね」



胡桃はカウンターの向こうにいる光希を見ながら頬杖をつく。



優生のことが好きだから、気持ちには答えられないと断り続けたけど「諦めないから」の一点張りで。


光希が諦めたのは今から2年前ほどかな。


本当に申し訳ない気持ちが山々だけど、中途半端な状態で付き合うことはしたくなかったから、断るしかなくて。


でも……優生のことが好きじゃなければ、普通に光希と歩んでたのかなとかぼんやりと考えてたり。


最初は私がぎこちなかったけど、光希がケロッと普通に接してきたので、私も段々と前のような関係に戻れた。
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