双星の煌めきは月夜に魅せられて

「でも、本当に優生くんと何も進展がないの?」


「……ないわ」



だって考えてみなさいよ。


優生は都内にある私立大学、工学部の大学3年生になって、真面目そうな顔つきが増して、さらなる誠実イケメンとなってしまった。


もちろんモテないわけがなく、日々女の子に追われている日々……らしい。


私は気が気でなく、講義中も優生は今頃女の子に告白されてるのかとか嫌なことばかり想像してしまうのだ。



「優生は何も変わってないし……私を見てない気がする」


「え、どういうこと?」


「いつも私から連絡してるし……なんか、遠くを見てる。目が合うなんて全然ないの」



一緒に帰る時も、バイクではなく電車になったから自然とくっつく機会がなくなったし、


寄り道はあったとしてもご飯食べるくらいだし、


桜蘭がなくなって、優生の真面目さもさらに増してしまったのだ。


それに、優生はまだきっと……胡桃のことが好きなんだと思う。



「月那ちゃん……。お互い頑張ろうね……!」


「なずな!天使〜!」
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