双星の煌めきは月夜に魅せられて
⁑
☆
月夜だとバレないように、パーカーにズボンではなく制服姿で夜の街へ入った俺。
ポケットにはいつでも連絡を取れるようにスマホを入れている。
『……で、早速連絡したのね』
「そりゃあ、不安。というか桜蘭ってどこ?」
『そればかりは分からないけど、普段行かないところにいるんじゃない?』
ああ、たしかに普段行くところで桜蘭の姿を見かけることはない。
月那の言う通りだと思った俺は、話しながら普段行かない道へ出た。
「……いた。4人いる」
『え、早速?』
幸運に恵まれたかはまだ分からないが近寄る価値はある。
俺はその集団に近づこうとしたその時。
「──おい」
誰の声だろうか……少なくともそこの集団のひとりの声だ。
鋭い声で呼ぶ姿に俺は息を飲んだ。