双星の煌めきは月夜に魅せられて
⁑
☆
「……あのさ、気のせいだったらいいけど」
「ん?何?」
時間いっぱい抱きしめあった後、優生は神妙な顔をして月那に尋ねた。
「さっき、朔夜と胡桃がいなかった?」
「え!?いつ!?」
「俺が付き合ってくださいって言う少し前くらい」
優生の言っていたことは正解で、朔夜と胡桃は駅の近くのレストランで夕食を取ろうとしたのだ。
『どうする?見たい気持ちもあるけど、行く?』
『……行こっか』
月那と優生が聞こえないように小声で会話して、2人は再び歩き出した。
「……気のせいじゃない?流石にこんなタイミングで朔夜と会うわけないでしょ」
「そうだな……じゃ、行くか」
しかし、そんなことを知る由もない。
優生が手を差し出して、月那はその手をとって歩き出す。
それは、もう友達ではない証。