双星の煌めきは月夜に魅せられて
コイツが俺を敵対視しているわけではなかったから、なんとなくは行く末を予想できてたが。
そこまでトントン拍子で事が決まるとまでは想定していなくて、俺は困惑せずにはいられない。
「マジで頷くとは思わなかったぜ。
後で取り消すは禁物だからな、総長さん」
「ああ、お前見た感じ強そうだしな。
良い戦力になることを期待している」
良い戦力、ね……いずれは潰すんだけど。
俺は桜蘭の敵となる存在なのにね。
全くおかしな話をするものだ。
「俺は桜蘭の総長──如月 優生(キサラギ ユウセイ)だ。お前の名はなんだ?」
「俺は、服部 朔夜だ。よろしく頼む」
総長とその周りにいる幹部に近寄るため、俺は月明かりに照らされた。
そして、俺の服装も淡い光りを放つ。
「お前、アイツと……!」
「アイツ?」
へえ、そこは勘が鋭いことで。
なずなと同じ制服であることに気づけたわけか。