双星の煌めきは月夜に魅せられて


しかし、なずなの名前を出せばこの計画も白紙になってしまうので、口をつぐむけど。



「百瀬 なずなを知ってるか?」


「百瀬 なずな……?」



一番左にいた、明るい茶髪なのに黒いメガネをかける姿は暴走族とはとても思えない風貌だ。


同じ制服の俺におそるおそる尋ねる。



「その名前聞きたくないんだけど〜」


「同感だ。コイツは知らねえみてーだから、これ以上アイツの名を出すんじゃねーよ」



茶髪の人は「そうだよね」と大人しく返して、俺をもう一度見た。



コイツはもしかしたらなずなの味方かもしれない。



そう思うくらい、真剣な表情をして、まるで助けを求めるかのように俺を見たのだから。



だが、まだ初対面だ。


得体も知らないヤツなのに安心するにはまだ早い。



「じゃあ朔夜、行くぞ」



今まで黙っていた総長が口を開いて、先頭を仕切って歩き出した。


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