双星の煌めきは月夜に魅せられて
月も加わる
パパが珍しく次の日になる前に帰ってきた。
私は夕飯のパスタを机の上に置いて、パパと向かい合った。
ちなみにもう朔夜は寝ている。
朔夜は朝型なので、夜遅くまで起きる時は月夜が動く時しかないのだ。
「それって本当……?」
『ああ、三村 胡桃は薬物所持だけではなく密売までしているそうだ』
今の事件の状況をパパから聞いて驚愕した。
三村 胡桃……私よりひとつ年上だったはずだ。
いくら暴力団の娘とはいえ、高校生が大人に麻薬の密売をやるだなんてよっぽど重症化しているのだろうか。
パパの言うことが真実だったら、物的証拠と取引の日時さえ判れば三村 胡桃を逮捕できるってことになる。
そして、谷口組組長の逮捕へと格段に近づける。
「三村と娘は互いに大事にしてるからな。
娘を逮捕するだけの情報は得られる」
「そうね。なるべく早く入手するよう善処するわ。
朔夜にも伝えておく」
「ああ、そうしてくれると有難い」
パパは空になったお皿を台所に置けば、欠伸しながら寝室へ向かった。