双星の煌めきは月夜に魅せられて
「エレナをこんなにしてまで傷つけて、お前は満足だったのか!?」
「お願い聞いて、私はそんなのしてな──」
「嘘に決まってるだろ。そんなこと言う暇があったらさっさと姫を辞めろ。お前はもう不要だ」
桜蘭の姫は2人いる。
どうやら、1人の姫がエレナというもう1人の姫を虐めていたようだ。
だが、姫はその行為を否認している。
「あなたにはもう会いたくない……っ」
「今すぐ辞めねえとどうなるかわかってるよな?」
エレナを守るように立つ桜蘭の幹部達に、もう聞く耳持たないと感じた姫は諦めて外へ出た。
「信じてたのは私だけだったんだ……っ」
誰もいない暗闇で悲しみに明け暮れた姫。
涙を流す瞼の裏で思い浮かぶのは、幹部達との楽しい日々。
もうそれは二度と来ないと頭では理解したくなくても、身体が理解してしまったのだろう。