双星の煌めきは月夜に魅せられて
「じゃあ上書きしてよ!」
「上書き?」
私の言いたいことが通じてないのか総長は首を傾げながら反復する。
「あたしに忘れられない記憶を植え付けたのはあなた達の責任でもあるでしょう?」
「それは、そうだが……」
「だったら!その恐怖の記憶を上書きできるようなことをあなた達にしてもらいたいの!」
そしてそれはあなたしかできない。
そう付け加えたら、総長も含め幹部の3人もばつが悪そうな顔を浮かべ俯いた。
おそらく意思は定まったけど、本当に踏み込んでいいのか迷ってるってところね。
「もう怖くないって言ったら、ここを抜けるから!
情報に関しては朔夜という家族が常に見張ってるから、心配いらないと思うし!」
「ほお、お前口が達者だな。まんまと飲み込まれる……千尋、お前が決めろ」
「え?優生が総長でしょ「人を定めるには1番の適任だからな。千尋が月那を見定めろ」
千尋が提案したのだから、答えるは1つ。
それなのに総長が決定権を委ねるということは、もう彼らの答えが全員一致したのだろう。