双星の煌めきは月夜に魅せられて
「……じゃあ、少しの間月那ちゃんを姫とします」
悪巧みとは言えないが、どこか裏がありそうな顔で言い切った及川千尋。
答えは、私の求めたもので安心した。
これで桜蘭に入れる、これは朔夜となずなのおかげね、後でお礼を言わないと。
「月那ちゃん」
「なずな、安心して!あたしなら大丈夫だから!」
「ううん、そうじゃなくて、私はもう桜蘭とは関わらないって決めたの。付き添いに行けないから先に謝ろうかなって」
そりゃそうだ、逆にこれからも関わるなんて聞いたらびっくりしちゃう。
だけど良かった、自分の意思表示をきちんとしてくれて。
「無かったことにしたいのはお互い様だから、今ここに来たのは今までのお礼ということにします」
お互い無かったことにしても、いくらなずなが潰すなと言っても、三村胡桃さえ逮捕すれば桜蘭は情報が暴かれ辞めざるを得ないだろう。
「というわけで、今までありがとう。結末がこんなでも楽しかったことには変わりないよ」
「なずな……!」
私は踵を返すなずなを慌てて追いかけた。