双星の煌めきは月夜に魅せられて
THREE STARS
⁑
☆
「なあ、アイツ何者だ?」
「サクの妹ちゃん?」
総長は静かに頷く。
「アイツ、全然怖がってないだろ。桜蘭の総長って言っても、何も反応せずに当たり前のように受け入れた」
「マジかよ!」
桜蘭は機密であるよりも最強な暴走族として有名で、驚くなどの反応を示すのは当たり前だ。
──ただし、正体を知っているとなれば別だ。
「ただ単に裏切り者がタレ込んだんじゃない?」
さも助け舟を出すかのように言った及川千尋。
彼の言葉に皆は「それもそうだよね」と納得した。
胸騒ぎ、虫の知らせ、胸のざわつき……
彼らは野生の勘を働かせたのか嫌な予感が止まらなかったようだ。
誰も知らない。
月夜の計画がヒビ割れのように崩れ落ちることを──