双星の煌めきは月夜に魅せられて
俺が慣れなきゃいけないのは分かってる。
「うん、やっぱ美味しい!光希も食べなよ!」
「僕は大丈夫。それよりよくこんな味食べられるよね」
「ええ!?納豆わさび味のポテチ最高じゃない!?」
だけど、月那は無意識のうちに人格を変えてるから怖いんだ。
幼稚園生の月那は明るくて元気な……頭だってそこまで良くなかったけど友達が多かった。
子どもらしさが残っていて、月那のことを全部分かってたつもりだった。
だけどいつ頃だろうか、本を読み漁って、勉強だって俺の知らないことばかりで、一緒にいる人なんか俺となずなを除けば誰もいない。
大人の世界に入ってしまった月那に誰もついていけなくなった。
大人と話す月那。
なずなといる月那。
桜蘭といる月那。
俺といる月那。
どの月那も人格が僅かに変わっていることに、当の本人が気づいていない。
家族ですら君の素の性格が分からないんだ……それがどんなに怖いことか分かってるのか?