双星の煌めきは月夜に魅せられて


そんなこんなで買えたコーラ。


倉庫に戻ると、月那を含め幹部達はいなくなっていた。



「月那達あそこか?」


「ああ、幹部室。エレナさんが来たから顔合わせにだってさ」


「エレナさん……?」



エレナってあのエレナか……?


なずなを陥れた最低な現姫。


そして谷口組の娘でもあり、警察の調べによれば薬物犯罪や窃盗、様々な罪を犯している──俺達のターゲットとなる人物。


傷だらけのなずなを思い出し、俺は憤りで一杯になるが精一杯抑える。



「ああ、そういえば朔夜は初めましてだよな。
優生さんに言えば少しは幹部室に立ち入っても大丈夫なんじゃねーか?」



桜蘭の幹部室はぶっちゃけると職員室みたいなもんだ。


用事あれば名前を名乗って入る的なシステムが似ている。


他の族のことは分からないけど、幹部室に下っ端が立ち入り快諾なのは早々見当たらない。



「じゃあ一旦寄ってみるわ」


「はいはーい、優生さん達にコーラいるかどうか聞いといて」



「了解」と片手を上げたら、俺は幹部室に向かう階段を登った。

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