双星の煌めきは月夜に魅せられて
わずかな時間稼ぎか、まあ相手は女だし多少の手加減はさせないとな。
「……っ」
「すみません、逃すわけにもいかないんで」
薄っぺらい謝罪をすれば、俺はすぐ近くにいる売人を追いかけた。
思ったより足が遅かったので難なく捕えることができ、腕を掴んで売人をひれ伏した。
「お前……強えな」
「君が弱いだけだろ」
この世の中は弱い者が消えていくものだ。
特にこの業界だったら、生き残るためには強くならなくてはいけない。
理不尽なことだ、平等な社会といってるのに弱い者が生きていけない社会を作っているなんて。
ほんと、可哀想で笑えてくるぜ。
「ジン!」
三村胡桃が近づいてくる。
俺は力を抜かさないように、力を入れ直した。