双星の煌めきは月夜に魅せられて
遠くからサイレンが聞こえる。
さあ、そろそろ頃合いかな。
「お前は誰だ……?」
「……そこの姫を守っただけだよ」
やがて警察がやってきて、俺はジンさんとやらの身柄を渡した。
あたりを見回すが一向に三村胡桃の気配がしない。
パパが回した人だから俺の顔馴染みの人というのもあって、あっさり解放された俺は三村胡桃を探しにまた走り出した。
いつの間に姿をくらませたのか、捕まりたくないなら当然の話だけど。
スマホで示された場所に近づいて俺は速度を落とした。
多分、この辺りで合ってると思うけど……あ、いた。
そこにはしゃがみこんでいる小さな背中があって。
「どうしてあんなことしたのよ!?」
近づけば、苦しい悲痛な声が夜空を響いた。