双星の煌めきは月夜に魅せられて


「あんたのせいでもらえなかったじゃない……っ」


「……」



何も答えない俺に痺れを切らしたのか、勢いよく立ち上がって怒鳴りつけて睨みついた。


さらにそいつはしがみついて、俺の服の袖や襟を引っ張る。



「……ドラッグの危険性とか分かってんの?」



使用者はみんな言う、気持ちいいと。


だけどクスリが抜けたら何とも言えない虚無感に襲われる。


やめられない、抜け出せない、だけど気持ちいい。



だけど、そうなってしまったのは意思の弱さじゃない。


単にクスリに手を出したからだ。



どうしてそんな物を飲むんだよ、頼りにしなきゃいけねーんだよ。


授業で麻薬は危険だって習ったろ?


なんでそんなもん手出したんだよ。



数々の逮捕者を見てきてそう思わずにはいられなかった。

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