恋文。<短編>
病室のドアを開けると
泣き崩れる
お母さんに抱えられて
タカシが
眠ってる。
タカシ?
ねぇ
寝てるだけなんでしょ‥?
タカシの手に触れると
ほら
温かい。
タカシは
生きてるよ。
タカシが
あたしを置いて
死ぬわけがない。
『タカシ~?あんた早く起きなさいよ。』
…
『もう分かったから、起きなってば!!』
『タカシ!!』
タカシの手が
少しずつ
少しずつ
冷たくなる。
だけどあたしは
タカシの名前を
呼び続けた。
声が枯れるくらい。
涙が枯れるくらい。
あたしの声で
タカシが
目を覚ましてくれる
気がして。
神様が同情して
タカシを
返してくれる気がして。
そんな幼稚なことを
あたしは本気で
思っていた。