愛逢月にレモネードを。
第二章 ─友達─
翌日。
結局私は天津くんにあれ以上のことを聞けず諦めて帰った。
今日の朝起きた時も、朝ご飯を食べているときも、考えるのは天津くんが言った前世の話。
天帝?と聞いた私に対して、頷いた彼の表情が頭にこびりついて離れなかった。
「はあ…」
「何朝っぱらからため息ついてんだよ」
「天津くん?!」
下駄箱でついた私のため息を寄らせまいとでもいうように、手で自分の前をパタパタと払いながら天津くんがやってきた。
腕を上げた持ち方だったスクールバッグをドサッと地面に置いて、1番下の下駄箱を開き靴を履き替える。
__なんで私、天津くんのこと待ってるんだろう。
「ほら、行くぞ」
右足で乱暴に閉め、だるそうにあくびをしながらカバンを持ち上げた彼の後ろを、
少し間を空けてついていった。
「あ、あの…」
「あ?」
「…おはよう」
「……はよ」