愛逢月にレモネードを。
姫川莉織。17歳。
高校2年生が始まって2週間ほど。
家族の仕事の都合で通い慣れた高校を離れ、千葉から東京に引っ越してきた。
今日は転入初日。
朝早く起きて、余裕を持って準備して、最高の自分の状態で行こうと決めてた。
なのに。
目が覚めると布団の上に足は放り出されてるし、手元には止めた記憶のない目覚まし時計、それを見ると針は8時20分を指していて。
学校から徒歩20分ていどの家に住んでいるとはいえ、転入初日、30分には学校にいるように言われていた。
ああ…こんなことなら3台くらい目覚まし時計買っとくんだった。
ずれ下がってくるスクールカバンの肩紐を掛け直しながら、車や人が行き交う交差点をすり抜けていく。